もう卵は殺さない :★★★★★

もう卵は殺さない (マーガレットコミックス)
 人と人がふれ合う以上どうすることもできない場面があって、それでも折り合いをつけながら前に進む主人公達。弱さの中に光る強さが心に響く。
 別冊マーガレット まるごと読み!←試し読み。
 ネットでちらりと評判を見かけて気になったので買って読んだ次第。
 ――あぁこれは僕の大好きな空気感だ。非常に良かった。面白かった、ではなくて良かった。生まれることができなかった卵達を描く4編の読み切りを収録。個人的には「きょうはなんの日」と表題作「もう卵は殺さない」がお気に入り。
 この作者の作品は初めてでしたが僕の好みにジャストミートでした。どうやら他にも何冊か短編集が出てるようなのでこれはぜひ買いそろえたい所存。

以下感想っぽいメモ。

「きょうはなんの日」

 タイミングと言ってしまえばそうなのかもしれないけど。誰かに何かを期待しても、いや相手がその期待に気が付いていたとしても応えられない期待だとしたら。それはやっぱりどうすることもできないんだよなぁ。誠意を持って断るってのもある意味では期待に応えているのかもしれないし、それを受け入れるのもまた相手の期待に応えていることになるんだろうね。

「もう卵は殺さない」

 非常にメタ的、って言うのかしら。この作中での卵は「主人公」。
 これ何か創作をしている人なら誰でも共感できるんじゃないかなぁ、もちろんその卵を産まれるまで暖め続けるのが結果として正しいのかは分からないけれども。そうやって殺し続けてきた卵たちを時々でも思い出したり、あるいは捨ててきた卵の中に前にこそ進むためのきっかけが隠れているのかも。


もう卵は殺さない (マーガレットコミックス)

もう卵は殺さない (マーガレットコミックス)